Yosuke Kashiwakura
森を破壊したのは、山火事でも隕石でもなかった
人間たちの欲求がより集まってできた欲望の津波だった
It was not wildfires or a cosmic bombardment that destroyed the forest.
It was a tsunami of desire: an amalgamation of people’s wants.
オランウータンと緑の津波展
巨大なパームオイル産業の陰に生きるオランウータン孤児たちがトラウマを乗り越え、木登りを学び、森で生きる力を取り戻していく。自然と文明の境界に生きる野生動物の再起を追ったドキュメンタリー写真集「Back to the Wild 森を失ったオランウータン」(A&F BOOKS/柏倉陽介著)の未公開写真を含めた写真展示・ボルネオの自然や環境教育に関わるエキスパート陣とのトークイベントを開催します。
2024年度 写真展スケジュールと対談イベント
えこりん村 8/17sat.~9/1sun.
対談イベント8/31sat.13:30〜14:30。登壇:庄司開作・柏倉陽介。えこりん村内のココワッカホールにて開催(対談後に参加者の方々からのご質問などを受け付ける場合は+30分延長となる場合があります)。
旭山動物園 9/7sat.~9/16mon.holiday.
対談イベント9/15sun. 14:00〜15:00 登壇:坂東統括園長・柏倉陽介「動物の気持ちと生きるための余地」 場所:いこいの広場(旭山動物園くらぶ売店横無料休憩所)
円山動物園 9/21sat.~9/29sun.
対談イベント9/29sun. 登壇:金子正美・柏倉陽介 *当日の詳細は8月中旬に発表
*写真展への入場無料。但し動物園入場の際には別途入園料がかかります
*著者在廊中は写真集のサイン本を販売予定です。また、在廊日も当ページでお知らせします。
オランウータンと緑の津波展 出演者(出演日程順)
柏倉陽介
ネイチャーフォトグラファーとして風景や動物、環境問題など自然分野を幅広く撮影。ナショナルジオグラフィック国際フォトコンテスト、ワイルドライフフォトグラファー・オブザイヤー、レンズカルチャーなど主要な国際写真賞に入賞。スミソニアン博物館やロンドン博物館、国連気候変動枠組条約締約国会議などで写真作品を展示している。2024年、動物保護施設への寄付を目的とした写真集『Back to the Wild 森を失ったオランウータン』を上梓。
庄司開作
2007年、えこりん村株式会社社長に就任。環境教育プログラム『えこりん村学校』開校、『トマトの森』世界ギネス記録取得、自給率改善のためグラスフェッドで羊生産をする農業法人の展開など、自然に寄り添う経営を実践している。
ボルネオ環境保全では、天然ゴム製品を企画販売・収益の一部で海外の青年達の環境教育を長年支援。ゴビ砂漠エリアでの砂漠緑化普及事業にも関わっている。
NGOオイスカ 北海道支部副会長。NPO共育フォーラム理事。
坂東元
1986年、獣医師兼飼育係として旭山動物園に勤務する。旭山動物園の来園者が年々減少し、廃園の危機に直面した際には、行動展示・もぐもぐタイムなどを具体化して危機を乗り越える。動物の命を伝える展示に力を注ぎ、2024年3月に15年務めた旭山動物園園長を退任。現在は統括園長として動物園をサポートしている。ボルネオオランウータンの飼育繋がりで、マレーシア・サバ州でのボルネオゾウ救助施設の建設を行う。
ボルネオ保全トラストジャパン理事。
金子正美
酪農学園大学名誉教授・環境学者。1989年、ボルネオ島に青年海外協力隊員として赴任して以来、ボルネオ島の生物多様性保全と地域おこしに取り組んできた。現在、さっぽろ円山動物園サポートクラブ会長として、動物園とボルネオを結びつける活動を行っている。近年においては酪農学園認定初のベンチャー企業「インターリージョン」設立し、代表取締役CEOに就任。国内外における実践教育や国際協力などの功績により、2022年に北海道社会貢献賞を受賞している。
「津波」という表現について
「津波」という言葉を聞いて、東日本大震災の津波被害を連想される方もいらっしゃるかもしれません。
写真集『Back to the Wild 森を失ったオランウータン』の発行にあたっても、そのような方への配慮についての議論があったそうです。
著者の柏倉氏自身も、両親が宮城に住んでいることや、東日本大震災直後に三陸や福島などの津波被害地域に物資補給で訪れるなど、被害状況を目の当たりにしており、地震や津波の恐ろしさを十分に体感していることから、配慮の必要性についても理解しております。
一方、柏倉氏がボルネオ島で目にしたアブラヤシ農園の光景は、街を飲み込んだ津波を連想させるほど恐ろしいものでした。
そして、その規模は、東日本大震災の津波被害を遥かに超える面積のアブラヤシ農園が広がっており、人の開発行為は天災に匹敵する、もしくはそれを超えるダメージを自然に与えることを読者に伝える必要がありました。
この「津波」という言葉は、日本人であるからこそ実感を伴い、よりボルネオ島の現状を伝えることができる言葉として活かされることを信じて、写真集の中でもあえて使用しております。
ボルネオ島の森林がこれ以上の被害を受けないためにも、今回の写真展でこの言葉を使用させていただくことに、ご理解をいただければ幸いです。(主催者一同)
『Back to the Wild 森を失ったオランウータン』について
本書の売り上げから、印税として著者に支払われる全額と本の売上金の一部をセピロク・オランウータン・リハビリテーションセンターに寄付します。
協賛
サラヤ株式会社
HUNTING WORLD
デリシャス株式会社 アレフ(びっくりドンキー)グループ
株式会社 CNC チャネルニュークリエィション
冒険研究所書店
株式会社シナノパブリッシングプレス
株式会社 エイアンドエフ
株式会社 芦澤泰偉事務所
発売日:2024/03/25
出版社: エイアンドエフ
サイズ:190×190mm/136ページ
ISBN:978-4-909355-45-4
写真集の販売はこちら
*サイン入りとなしの本をセレクト可能です。
北海道での巡回展『オランウータンと緑の津波』2024が無事に終了しました。毎日滞在することはできなかったのですが、写真の前でじっと考える人を何人も見ることができました。子供たちはオランウータンを可愛いと表現してくれました。そうした姿を眺めて、環境問題には動物たちへの愛着を持ってもらうことが何より大切なのだと感じました。それがなければ、遠い国の出来事を身近に感じることはできません。今後はそのことを意識しながら、三つのトークイベントで私自身が学んだヒントを取材に活かしていきたいと思います。
この巡回展ではえこりん村、旭山動物園、円山動物園の施設が無償でスペースをお貸し出しくださいました。展示の準備から手厚いサポートをしてくださった関係者の皆さまにもこの場を借りて感謝を申し上げます。本当にありがとうございました。